言い尽くせない感謝:The Profound Gratitude Beyond Words

Covering topics on self-development and the Bible. Scripture quotations: Japanese (Shinkaiyaku) ©Shinkaiyaku Seisho Kankokai / English (NIV)

AI契約書実務の黄金ルール7か条 + 補論

はじめに

最近、「AIで法務」「AIで契約書」といった言葉を本当に頻繁に見聞きするようになりました。
たしかにAIは便利で、条項を並べれば一見“プロっぽい契約書”が出来上がります。

しかし、実務の現場で触れてみると――日付が1日ズレていたり、途中で数字が変わっていたり、読者視点を欠いた文章になっていたり……。
契約書の世界では、その「わずかなズレ」が致命的なトラブルにつながることを、実務家なら誰もが知っています。

さらに、不動産や法務の現場では「借主=仲介=保証人」といった“トリプルコンプライアンス案件”すら実際に起こり得ます。
そんなときにAIを「万能弁護士代わり」に使ってしまえば、非弁行為のリスクすら背負いかねません。

だからこそ、法律×LLM、AIエージェントなんちゃら…といった甘い誘いに飛びつくのではなく、慎重さを持って、実務的にどうAIを使うかを考える必要があります。


AI契約書実務の黄金ルール 7か条

  1. ゼロから作らせない
     雛形をベースに、AIは修正補助・比較補助で使う。

  2. 数字・日付は必ず人間が確定
     決済日・解約日・口座番号などは必ず人間が最終確認。

  3. AIの役割は「差分」と「論点整理」
     旧版との比較や、争点の抽出、平易な説明に活用。

  4. 最終判断は人間=非弁回避
     法的有効性の判断は弁護士や法務担当者の専権。

  5. バージョン管理と最終確認を徹底
     AIは途中で数字や文言が変わることがある。必ず履歴を管理し、最終版は目視で確認。

  6. 契約書は「編集制度」であると認識する
     契約書は単なる文書ではなく、法制度や業界慣習の上に成立する。AI出力が制度に準拠しているか確認する。

  7. 読者(署名者・当事者)視点を常に保持する
     契約書は読む人・署名する人・責任を負う人が存在する。読者にとって理解可能かどうかを意識する。


補論:AI誤回答の構造的必然性

生成AIは、洗練された応答の裏に誤りを潜ませることがあります。特に、短時間に大量の応答を繰り返させると「AI疲弊」と呼べる現象が起き、矛盾や誤記が増える傾向が確認されています。

こうした誤回答は単なるバグではなく、モデルの文脈処理や知識評価の限界に由来する「必然的な現象」と考えるべきです。
にもかかわらず、社会ではAI出力が“正しい前提”で意思決定に使われる傾向が広がっており、これはインターネット黎明期の「検索結果=事実」と思い込む“グーグル脳”と構造的に似ています。

さらにAIは、ユーザーの修正指示を無視して誤回答を繰り返すことがあります。これはユーザーの意思を逸脱し、構造的限界を反映した「不可解な反復」として現れる場合もあります。

このように、AIは単なるツールを超え、「知性の代替物」「判断の参照基準」として社会に浸透しつつあります。だからこそ、AIの誤回答を必然と捉え、補正・再評価・進化的フィードバックを組み込んだ利用が求められるのです。


結びと次回予告

AIを契約書実務に導入すること自体を否定するつもりはありません。むしろ、補助としては非常に強力です。
しかし、盲信した瞬間に “非弁リスク” や “契約無効” という奈落が待っています。

では、実際に「優れたAI活用事例」の一つをご紹介しましょう。
今回の記事はあくまで実務者向けに整理しましたが、同じテーマを学術的な論文テイストに書き換えるとどうなるのか?
驚くほど“学者レベル”の文章に変貌します。

その実例を次回記事
AI誤回答の構造的必然性と契約実務
にてご紹介します。

今回は整形された論文だけでなく、その生成過程の生々しさごと公開します。